【日本台所昔ばなし】釜戸からつづく100年の思いやり

 

年の瀬も間近になり、皆さんもクリスマスや年末、お正月に向けて、準備を始めている頃でしょうか。

久しぶりにご家族が揃ってわいわい料理をしたり、ひとりで趣味や仕事をするコーナーがあったり、今や多目的スペースとして暮らしの中心にあるキッチン。

しかし、今から100年前の台所は、単に調理という家事をこなすだけの簡素な場所でした。

今回は、大正時代に遡ってキッチン設備の変化について紹介いたします。

大正時代は、薪や木炭、練炭などを使ってかまどで煮炊きをしていました。

 

土間

 

当時、台所は土間と板の間でできていました。

土間の床面には煮炊きをするためのかまどがあり、火を扱うときはしゃがんだり、立ったりの重労働でした。

しだいに薪などの代わりにガスバーナーを使うガスかまどが登場しました。

ガスかまどの登場により、しゃがんだり立ったりを繰り返して行っていた炊事を、立ったまま行えるようになり、当時の家事負担は、劇的に軽減されました。

「薪で火を焚く」という家事の手間が省け、台所のガスの利用が一気に広まりました。

そして、100年の時は流れて現在。

当時画期的だった立ったままの炊事は、さらに進化して、台所に立つ人の身長に合わせたキッチン台の高さを選択できるようになりました。

 

使いやすい高さの目安

 

キッチン高さの選択ができることにより、毎日の調理で蓄積される身体的疲労(腰や首の痛み)を軽減する事ができます。※使いやすい高さの目安 【身長(cm)÷2+5cm】

どの時代も、台所に立つ人がいて、その人の苦労を労い、思いやる気持ちが、商品やサービスに代わり当たり前のように普及されていきます。

スマホひとつで遠くの人の投稿を閲覧できる便利な世の中ですが、身近な人こそよく観察してみると、私たちの暮らしに役立つ、新しい発見があるのかもしれませんね。